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2021年1月のブログ記事
保湿剤はどれを使えばいいのか?
2021年1月25日
カテゴリー: 皮膚
寒くなってくると、乾燥肌のお子さまのご相談も急増します。
そんな中、患者さまから「いろんな保湿剤がある中でどれを使えば良いのか?」というご質問を受けることがあります。
当院で処方している保湿剤は主に、ヘパリン類似物資含有製剤(商品名:ヒルドイドで有名です、以下代表してヒルドイドで記載します)とワセリンです。
ほとんどの乾燥肌の患者さまにはヒルドイドを処方します。
というのも、ヒルドイドは乾燥したお肌に水分を補給してそれを保持してくれますが、ワセリンはすでに乾燥したお肌に水分を補給する力はなく、今お肌にある水分が逃げないように覆うものだからです。
以前、皮膚科の先生が例え話として、「ヒルドイドは濡れ布巾、ワセリンはラップで、乾燥したお野菜をどんなにラップで巻いても乾燥したままだけど、乾燥した野菜に濡れ布巾をかけたら表面がしっとりするでしょ」とおっしゃっていました。たしかにヒルドイドとワセリンの違いをイメージしやすいですよね。
さて、ヒルドイドといってもクリーム、ローション、フォーム(泡)、スプレータイプなどさまざまあります。このどれを使うかはそれぞれの家庭の状況や、お子さまのお肌の状態で違ってきます。
お子さまが多いご家庭ではお風呂あがりに逃げ回るお子さまに保湿剤を塗るのは一苦労です。そういった場合は、フォーム(泡)やスプレータイプをお勧めします。素早く広範囲に塗れますし、年中さんくらいからは楽しみながらお子さまがご自身で塗ってくれることもあります。
乾燥肌の程度が非常に強いお子さまですと、秋冬の間はクリームタイプでしっかりと保湿しないとダメ、という方も見えます。
まずは色々使ってみて、どれがご家庭で続けやすく、使用感が良いのか試していただくのが良いと思います。お気軽に試してみたいものをおっしゃってくださいね。
※ごくまれにヒルドイドで痒みや赤みが出る、という患者さまがみえます。乾燥が特に強かったり、湿疹が混在している患者さまからの訴えが多いように感じます。その場合は、刺激性のより少ないワセリンを処方することもありますが、その場合はお風呂上がりは出たらなるべく早く塗って肌の水分を閉じ込めるようにお伝えしています。
乾燥肌でお悩みのお子さまがいましたら、お気軽にご相談ください。
小児科 安藤
花粉症レター(2021年)
2021年1月22日
カテゴリー: 花粉症
今年も花粉症の時期がやってきました。
さて、今年の花粉症飛散予測は、例年よりはやや少なめで、昨年より多めです。
マスクをしていて症状が悪化しないかと思いきや、日常的に換気を行っているので
室内に花粉が入り込んできます。
でも今年は、花粉症対策よりも感染対策を優先して、換気をお願いしたいです!
当院でも12月ごろから、「花粉症が始まりましたか?」という質問が例年より多い上に、
鼻の中の所見はアレルギーっぽく、鼻水にすでにアレルギーの細胞が出ている方もおみえになります。実は、スギは11月ごろから少量飛散しているのです。
さてお薬を飲み始める時期は?
①少しでも症状が出てきたとき。
②症状が出なくても、花粉飛散予測日の1週間前から。 (バレンタインデーの頃と覚えておいてください!)
当院では、花粉症の治療は、3段階で行っています。
①抗ヒスタミン剤(ルパフィン、ザイザル、アレサガ、デザレックス、ビラノア、タリオン、アレロックなど) →くしゃみ、鼻水、皮膚の痒みを抑えます。 ②抗ロイコトリエン薬(キプレス、シングレア、オノンなど) →鼻詰まり、気道の過敏性、咳、喘息を抑えます。 ③点鼻薬(ナゾネックス、エリザス、アラミストなど)→使い続けることで鼻水、鼻詰まりを改善します。(市販の点鼻薬のように急に鼻詰まりは取れません。)
初期療法としては①から使用するのがお勧めです。
喘息、咳喘息をお持ちの方は②からでもよいでしょう。
治療のポイント
早めに使う!
自分にとって必要な量を遠慮なくしっかり使い、症状がでないようにする!
(すごく症状が出てからお薬を使うと沢山使わなくてはいけない上に抑えにくいです)
症状が完全におさまってしばらくしてから減量する!
点鼻薬や目薬は症状が出ても出なくても、決められた回数を使う!
感染対策をしながら、上手に乗り越えたいですね。 文責:荒木
新型コロナ流行期における漢方治療
2021年1月18日
カテゴリー: 漢方治療
先日、コロナ期における漢方治療のWEBセミナーを受講しました。
漢方は今までも治療の選択肢の一つとして積極的に利用していましたが、コロナ流行期の風邪治療の一つとして今まで以上に積極的に使いたいと思います、
現在、新型コロナウィルスが猛威を振るっていますが、候補薬はあるもののはっきりとした治療薬は存在せず、対症療法を行うのみです。
また重症化のメカニズムにサイトカインという免疫系の物質の過剰生産が関係しているとわかってきており、漢方にはそれを抑え、適切に働かせる作用があることも分かっています。
風邪などウィルス感染の治療に対しては、当院ではご希望の方には積極的に漢方を併用しています。
頭痛、鼻水、悪寒などの初期
葛根湯または麻黄湯(体が弱い方、ご高齢の方には麻黄附子細辛湯)
1週間前後経過後の微熱や食欲がない時期
小柴胡湯加桔梗石膏など
病後の回復期、風邪などの感染が治った後も倦怠感や息切れなどがしばらく続くことが多いです。
そういう時には補中益気湯、十全大補湯、人参養栄湯のような補剤といわれる免疫をアップする漢方を使用し、体力、気力の回復を行います。
小児の繰り返す中耳炎には十全大補湯、短期間に扁桃炎を繰り返す方には補中益気湯を
元々耳鼻咽喉科では使用しており、十全大補湯は小児の急性中耳炎ガイドラインの推奨薬剤にもなっています。
補中益気湯は、免疫力をアップし、感染の予防にも使えますので、私も好んで使っています。
新型コロナの予防にも使用できると思います。
風邪などのウィルス感染の治療として、漢方薬の選択もご一考くださいね。
ご興味がある方は、診察時にお尋ねください。
文責:荒木